木造平屋の教会設計で悩む、大吹き抜けの屋根と水平構面:のぼり梁と母屋の考え方
ちと前、平屋の木造の教会で構造計算をしていました。建物のほとんどは素直に進むのですが、一部に大きな吹き抜けがあり、その上の屋根でずっと引っかかっていました。この記事は、そのときの悩みと、教会という建物を設計していて感じた「住宅との違い」を、途中経過のまま書き留めたものです。
■ 何に引っかかっていたのか
やりたかったのは、屋根の面そのもので水平方向の力を受け止める「水平構面」をつくることでした。そのために、屋根を「のぼり梁」で組みたいと考えていました。ところが、そのときの構造計算ソフトのデータは、母屋で組む前提のままになっていました。理想の架け方と、画面の中の架け方が噛み合わない。ソフトの画面と手元の図面を行ったり来たりしながら、「この架け方で本当に成り立つのか」と頭の中で何度も組み直していました。
■ 水平構面とは
地震や風のとき、建物には横向きの力がかかります。この力を、壁や柱にうまく伝えるために、床や屋根の面で受け止める考え方が「水平構面」です。平屋であっても、屋根の面でどう力を伝えるかは、構造計画のひとつの検討事項になります。
■ のぼり梁と母屋の違い
のぼり梁は、屋根の勾配に沿って架ける梁です。母屋は、垂木を支える横向きの部材で、多くの木造住宅で使われる、比較的オーソドックスな架け方です。どちらが正解ということではなく、屋根の見え方も、力の流れ方も変わります。空間としてどう見せたいかと、構造としてどう成立させるか。その折り合いをつけるのが、設計者の仕事の大きな部分だと感じています。

■ 吹き抜けがあると、なぜ悩ましいのか
天井が高く、空間が一体になっている建物では、屋根が空間の印象を決めます。屋根をすっきり見せたいという意匠上の願いと、屋根の面で力をどう受けるかという構造上の事情が、正面からぶつかりやすくなります。住宅でも吹き抜けはありますが、教会のように大きな一体空間になると、その影響が大きくなると感じています。
■ 教会の設計で、住宅と違うと感じること
教会を設計していて、住宅とは違うと感じる点が三つあります。
一つ目は、多くの人の意見をまとめることです。住宅は、住まう人の希望に応えることが中心になります。教会は、集まる多くの人たちの想いを、ひとつの空間にまとめていく必要があります。
二つ目は、使われる頻度が住まいとは違うことです。
三つ目は、象徴性です。屋根の形ひとつとっても、構造として成り立てばよいというわけではなく、その建物が何を象徴するのかという問いが重なってきます。
■ 結果、登り梁で進めることにしました。断熱材吹き込みが400mmあるので、極力シンプルにしたかった面もあります。
■ よくある疑問
Q. 平屋でも、水平構面は考える必要がありますか。
A. 平屋でも、屋根の面で横方向の力をどう伝えるかは、構造計画の検討事項になります。具体的な必要性は、建物の形や規模によって変わるため、個別に確認することが大切です。
Q. のぼり梁と母屋は、どちらがよいのでしょうか。
A. どちらがよいと一概には言えません。空間の見せ方、必要な構造性能、施工のしやすさなどを合わせて、建物ごとに選ぶものだと考えています。
■ おわりに
屋根一枚の架け方に、意匠と構造と、その建物が担う意味が重なってくる。平屋だからシンプルとは限らない、とあらためて感じています。大空間や吹き抜けのある建物で、意匠と構造のあいだで悩んだことのある方は、どう折り合いをつけたか、ぜひ聞かせてください。地盤調査も終わり、あとは確認申請がおりるのを待つばかり。。。(これが結構時間かかってんですよねー・・・)







