豊かな生活って何だろう?
幸せな生活って何だろう?
連日様々な社会問題を見聞きする中で、最近はよくそんなことを考えたりしています。
概要として、新築住宅は「耐震等級3、冬期の早朝無暖房で室温18℃を下回らない環境」をmaaoの「基本設計条件」としております。快適な住まいに至る基本性能として、強くお勧めしている仕様となります。(湿度基準についても、絶対湿度で実測中心に作成中ですので追って明記します。)
さて、
まちなかで目にする2022年現在の住宅事情ですが、設計・監理を行うともに、2020年春より「認定現場監査士」という、木造住宅現場の工程別にチェックする仕事も始め、チェックさせて頂いた現場数は1,000棟を超えました。日々、埼玉県中心の現場を行き来する日々が続いており、その中で思うことがあります。
住環境って数値的にはまだまだ良くなっていない。。。
自分自身が設計・監理業を通じて目指している住環境と、日々目の当たりにする現状の狭間に立ち、どこか歯痒い気がする日々を過ごしております。
事務所のある埼玉県川越市は省エネ区分「6」地域ですが、目に映る現場のほとんどがHEAT20のG2レベルにも至っていない状況が続いています。恐らく、設計時に温熱環境のシミュレーションはなされていないのが一因かと思います。正直、高性能住宅とは言えない、無冷暖房では暑い夏や寒い冬を越せない仕様・・・。
今後もぐんぐん温暖化していく地球において、日々の光熱費は嵩んでくる。かたや、新築・改修時に断熱性を上げて性能向上した建物は、イニシャルコストはかかっても、その後の光熱費は抑えられ、かつ「快適性」は担保された生活が可能となります。その「長期的コストで見た事実」に気がついていない方が実に多いと思っています。
業界的には2021年4月から「省エネ住宅説明義務化」が始まりました。
説明義務化ですので説明すれば良い。別に断熱性を高めたりしなくても、今まで通り一才何も制約がない・・・
でも、
東北芸術工科大学竹内昌義教授、東京大学大学院前准教授を始め、業界の良識ある実務者、企業、研究者・・・多くの皆さんの力で、ようやく2025年に省エネ義務化が進み、法整備が進んでいる段階に入ってきました。
2025年って、まだまだ3年後。。。いや、既に国内でも多くの実務者の皆さんが、その動きの中で高性能住宅を日々築かれています。
が、
様々なアンケート結果から「冬暖かく夏涼しい快適な暮らし」を求める声が高く、逆を言えばそのような環境を築けていない実態が浮き彫りになっております。
今やyoutubeなどにより情報が広く開かれ、知りたいことを容易に検索できるようになりました。しかしどんな計画も、置かれた敷地、環境、特性などによって、状況は全然変わってきます。標準仕様は作れても、より良い環境は、基本的には1つ一つの最適解を求めていくことが何より大切、と思っています。
maaoは、
事務所スタートからどちらかと言うと、既存改修などをより多く設計・監理させて頂いております。住宅、保育園、放課後等デイサービス、作業所、店舗等々、様々な設計監理に携わらせて頂いてきました。また、現場作業も好きだったりするので、お施主さん、事業主さんと一緒にDIYなどもしたりします。
住宅を「買う」のではなく「育んでいく」ことにより主体的に建築工事にも携わって頂き、大切な家族のように、生み出される住まい、場にも、愛着を持って頂けたら良いなぁ、と思っており、プロセスを楽しんで生み出していきます。
リノベーションにより、820万戸を越えてきた国内の空き家事情にストック活用に注目が集まっていますが、一概に工事工程は容易ではありません。
リノベーションは難易度は高いことが多い。
初期調査を行い、実際に少しずつ、様子を見ないと実際に工事に進むかどうかはわかりません。例えばまずは、インスペクションや耐震診断で状況を確認していきます。
住宅計画を考えておられる皆さんに、ぜひ、使って頂きたい言葉があります。
「で、このプランで冬場の朝、無暖房でどのくらいの室温になりますか・・・?」
先進諸国から遅れをとること10年、20年、いや30年。日本の住環境、特に高性能住宅については、日本は2050年脱炭素化社会に向けて大きく舵取りが変わりました。Q値、Ua値、C値・・・数値的にしっかりとした基準が日本にも確立され、施工され続けており、日々、実務を通じて研鑽を積んでおられる素晴らしいビルダーの方も増えております。(オススメの全国の優秀なビルダー・設計事務所資料はコチラ)
ただ、気をつけて頂きたいことは、これらの数値が優秀であっても、実際の室温が設計時(シミュレーション)と全く違い、高かったり低かったりする、という事実です。身近な言葉に翻訳されていない住宅を生み出し続けた責任は我々建築に携わる者にありますが、もう、この流れを変えていかなければいけない。大切な住まいと地球のために。
当たり前ですが、1件1件、建物は性能が違います。その土地のその環境でその建物ならではの設計を行い、建設前にシミュレーションにより状況と結果を分析・修正し、実際に建ててからもその結果を調査していく。ここで初めて、納得のいく住環境が生まれる、と思っております。
自ら設計事務所を始める前に、ディテールを間近で学ぼうという理由で、ゼネコンで現場監督を務め、その後、設計実務を学んでから、自らの歩みを始めた建築士として、これまでに多くの耐震診断及びインスペクション、実情に応じて耐震補強・断熱改修、設計監理などをさせて頂きました。そのひとつひとつには反省点も多くただただ感謝しかありません。
生み出す建物、利活用する建物が、次の時代までずっと「いつまでも愛され続ける」ために。実際にそこで生きる時間が、幸せに至る時間になるように。
技術と信頼で一つひとつの場を築いていけるように、まずはゆっくりと話しながら、望ましい方向を一緒に計画して参りましょう。