長く生き続ける建築とは

長く生き続ける建築とは

 

僕たちの周りには、多くの建物が存在しています。

 

身近な街並みを見ていても、

空き家がどんどん増えている状況は

なかなか実感が湧かないかもしれません。

でも、統計的に見ると、確実にストックが増えている国内の現状です。

 

今の僕にとって、

「新築」については、それなりの「価値」のある建物でなければ

新築する意味が無いように感じております。

既に、余りあるストックを活かすことが、

これからの日本にとって、どれ程大きなことか、

少しずつ感じ始めております。

 

 

僕の中では、その「価値」は3つあって

「愛着」「性能」「デザイン」がそれに当たります。

 

「性能」は、構造・温熱環境等の建物スペックが主な部分で、

僕が得た知識、技術、コスト感覚で、深く追求していく内容です。

「デザイン」は、あまり重要で無いように仰る方もおられるのですが、

この世に存在し、社会の中に佇む存在として、

「デザイン」が持つ、エリアへの影響力に僕は強い「価値」を感じます。

 

 

3つの中で一番大切と思っているものが残る「愛着」です。

 

話が少しそれますが・・・

 

僕はアルバイトして働きながら夜間大学を卒業しましたが、

学業の他に、幾つものアルバイトを兼ねてやっていました。

警備員、出版社配送、ラーメン屋、新聞配達、職人、CADオペ、引越業者、ファミレス等々・・・

アルバイトで得られるのは「お金」だけではありませんでした。

例えば、多くの人間との「関係性」を学びました。

 

 

その頃の卒業論文テーマは、

 

 

「長寿命化」に関する研究でした。

 

 

ダメ学生だった僕が本当にお世話になった沖塩荘一郎先生は、

FM(ファシリティーマネジメント)のこの国の第一人者です。

先の国立競技場コンペ初期案に対しても、

維持管理費の膨大さを数値データと共に一早く指摘なさっておられました。

 

卒業論文題材となった「BELCA賞」とは、

長期にわたって適切な維持保全を実施したり、

優れた改修を実施した既存建築物のうち

特に優秀なものに与えられる賞 なのですが、

この受賞された建物の共通項を探っていくことで、

長く愛され続ける建築物のキーワードを探ろう、という試みでした。

 

 

そこでの、結論が「愛着」に通じておりました。

 

 

所有者、ビジネスオーナー、設計者、関係者・・・

誰かしらの「人間」が、

その建築物に強烈な「愛着」を持っていることが

調査から浮き出て参りました。

 

 

結果論として、時を超えて愛され続けることは容易ではありませんが、

「愛着」が生み出せるかどうかは、

「関係性」に直結していると思います。

それも、計画初期のプロジェクトに関わる全ての人間の「関係性」です。

 

 

そこに、素晴らしき「関係性」を生み出せるか。

 

 

 

「新築」の場合は、

そういった「価値」を見出せるかをまず判断します。

 

 

埼玉・川越において建築設計・監理を中心に業務しております。建築とはその時代の技術・文化・思想・情勢の指標として世に生み出されて佇みます。「地球温暖化による環境変化」「少子超高齢化社会」「再生可能エネルギーへの転換」等々、多くの解決すべき課題、現実を受けての実践となっておりますが、国勢シュリンク(縮小)期を迎え、どこかしらギスギスしがちな社会に向かっている気が致します。特にSNS等、ネット情報化が進む社会において、プラスマイナス双方の影響が見え隠れしており、聞いたこともないような状態が次々と起こっております。そのような中、一人の赤ん坊が周りの人々を笑顔にするように、業務を通じて関係者や周辺の方々、環境、風土、社会に寄り添うような、緩やかで楽しい関係性を築いていくことができたら、と思っております。ふと目を移すと、国内には遊休不動産、いわゆる「空き家」の数が820万戸を優に超えるという状況となっており、これらの再生や活用も重要な業務となっております。新築・改修・再生ともに特に構造的な「耐震性」、建物のデザインのみならず、基本的な住環境性能と健康を意識した「省エネルギー性」、その土地特有の「地域性」を強く意識した活動を行って参ります。また、川越には現代に残る多くの歴史的遺産が多数ございます。日々その歴史の一端に触れつつ、世代を超えて「愛され存在し続ける建築・場」について、追求・実践して参ります。